その時代を表す言葉、それが流行語です。
逆に言えば、流行語から当時の状況を垣間見ることができます。
流行語は一過性のもので、一時期を過ぎると忘れられていきますが、
生活に密着し、人々の間に残る言葉もあります。
たとえば「朝シャン」は1986年に生まれた言葉で、「朝にシャンプーをする」の意味を表します。
それまではシャワーは夜、シャンプーで頭を洗うのも夜、という習慣があったわけですが、
齋藤由貴のテレビCMでは、朝に洗面台でシャンプーする、という画期的なシーンを放映し、
人々、特に若い人の間で普及しました。
「朝シャン」という新たな生活習慣は持続し、現在に至ります。
そのため現代人も、「朝シャン」という言葉を知っています。
これは流行語が安定し、日常語になった一例です。
同様の例に「激辛」があります。1986年に生まれた言葉ですが、現在も使われていますね。
もちろん、時代の変化に耐えられず、途中で無くなっていった流行語も多数あります。
例えば「新人類」「プッツン」「モーレツ社員」「ナウい」などです。
無くなった理由は、その概念や現象が日本社会からなくなったというより、
価値観が変わって、新しい言葉に置き換わったからでしょう。
例えば「プッツン」は「キレる」とだいたい同じ意味です。
ただし、両者はニュアンスが違います。「プッツン」はユーモラスに言動が変な人を表す言葉ですが、
「キレる」は突然の激怒と暴力で明らかにマイナスの場面を想定して使われます。
「モーレツ社員」は「猛烈に働く社員」のプラスの意味で1969年の言葉ですが、
現代ではライフワークバランスを重視する傾向があり、猛烈に働くことはマイナス的です。
このように価値観が変化してしまった場合、言葉も変わる、とは言えそうです。
一方、令和の流行語には、「へんふよ」「ワンチャン」「あーね」「イキる」などがあります。
これらの言葉はすぐに途絶えるのか、それとも生き延びるのか。
それは日本社会の今後の様相にかかってきます。
プログラムでは、昭和と令和の言葉を紹介した後、
参加者の方々にも、知っている流行語とその意味、会話例をプリントに書いてもらいました。
毎日アドライズを利用する方々のあいだで、「世代が違うと知っている流行語も違う」という認識もうまれ、
非常に深みのある講義となりました!